この「特許原理公開」は弊社代表取締役が30年前に考案した原理ものをまとめたもので、現在の弊社のモーターの原点となるものです。
特許原理公開 永久磁石を利用したエネルギー変換装置
従来までのモーターは、電磁石あるいは永久磁石によって磁界を形成し、その中に回転子導体を置くことによって回転力を得るものでした。これに対して私が考案したインテリジェントモーターは、回転子、固定子共に突極構造です。固定子は永久磁石と電磁石を一体化した構造で、固定子には励磁電圧を供給することによって回転子導体を磁気力で吸引するものです。この種のモーターで吸引力を利用して回転力を得る方法は他社にはありません。
原理的考察
本件発明の心臓部ともいえる、永久磁石と電磁石を組み合わせた閉磁路の部材を仮にベーシックファクターと呼ぶことにします。
ベーシックファクターは、 永久磁石(a)と電磁石(b)より構成されています。永久磁石(a)はネオジムマグネット (硬磁性体)を純鉄(軟磁性体)で着磁方向の両側をはさんだものです。 電磁石(b)はコの字の軟磁性体(純鉄)のコア(ヨーク)に銅線のコイル(1個) を巻いたものです。
ベーシックファクターにより考察しますと、 永久磁石と電磁石の接合面であるpとqに着目します。
1.電磁石(b)に通電していないとき(off)
永久磁石(a)の磁力線は、ベーシックファクターの閉磁路を回るだけで空気中への磁束の漏れは、ほとんどありません。したがってpとqの接合面は強い吸着をしています。この際のpとqでの吸着力は、永久磁石だけによるものです。
2.電磁石(b)に永久磁石(a)の 磁束数より多量の磁束数を発生させる電流を同極どうしを対向させて通電したとき
永久磁石(a)の磁力線は、電磁石(b)の磁力線に閉磁路からpとqの接合面より上に押し戻されて永久磁石の飽和状態を超えれば、空気中に放出されます。この際、電磁石(b)の磁束数が充分に多量であれば、空気中に放出される磁力線は、永久磁石(a)と電磁石(b)の合成されたものとなります。したがってこのときもpとqの接合面は強い吸着をしています。このときのpとqの面の吸着力は、電磁石(b)だけによるものです。
3.電磁石(b)に永久磁石(a)の磁束数と 同量の磁束数を発生させる電流を同極どうしを対向させて通電し、 かつベーシックファクター自体の残留磁束密度の飽和状態よりも、 余裕があるとき(これも同極どうしを対向させて)pとqの接合面は、吸引も反発もしない無力化状態となります。これは、永久磁石(a)の磁力線も電磁石(b)の磁力線もpとqの面を境にして、互いにかよいあうことのないことを意味しています。尚、ベーシックファクター自体の残留磁束密度の飽和状態を超える永久磁石(a)と電磁石(b)の磁束数が同量かつ多量であれば、接合面pとqは、反発力を持ち各々の磁力線は空気中に漏れ磁束として放出されます。
4.3の状態において、ベーシックファクターの作用面を(x)と し、(x)に近接する可動部材(y)を想定します。可動部材(y)は、軟磁性体(純鉄)からなります。
3の状態において、電磁石(b)に投入する電流値をαとします。(p,qの接合面が無力化しているポイントでの値)4の状態においてベーシックファクターと可動部材(y)とのエアギャップを縮めていくにしたがってαの値は、小さくなっていきます。
これは、永久磁石(a)の磁力線がp,qの面を超えてベーシックファクター内で閉磁路を構成することなく、反対に可動部材(y)に対してエアギャップを介して磁路を構成し、作用面(x)において吸引力を発生させていることを意味します。このとき、電磁石(b)に投入するαは、p,qの面において永久磁石(a)の磁力線を遮断するに足る量ですむわけですから、永久磁石(a)の磁力線が可動部材(y)と磁路を構成しやすくなればなるほど、いいかえれば、作用面(x)の吸引力が増せば増すほどαの値は小さくなります。尚、作用面(x)の吸引力の限界は、おのずと永久磁石の性能を限界とします。しかし、2の状態のように電磁石(b)に多量の電流を投入すれば、作用面(x)の吸引力は、永久磁石(a)の磁力線と電磁石(b)の磁力線の合成となりますから、強力にすることができますが、エネルギー効率的には、悪化します。4の状態において、作用面(x)の吸引力を増しかつαの値を小さくするための条件は、次の3つが考えられます。
1.作用面(x)のエアギャップを小さくする。
2.永久磁石(a)のヨーク部分と可動部材(y)の軟磁性体の部分を電磁石(b)のコア(ヨーク)の部分よりも飽和磁束密度のよい素材とする。
3.ベーシックファクター内の閉磁路の距離(L1) に対して永久磁石(a)とエアギャップを介して可動部材(y)と構成す る磁路の距離(L2)を短くする。尚、作用面(x)の吸引力を増すに は当然永久磁石そのものの性能(Br,BH)をよくすること はいうまでもありません。ネオジムにかわる素材も開発されて いるとのことです。(超電導磁石etc)
さて、永久磁石そのものの着磁方向の距離(巾)をL、 永久磁石(a)の長さをXLとし、断面積をZとします。L,XLはZとBr, BH曲線グラフとパーミナンス係数から適する値を算出できます。これにより、 永久磁石(a)と可動部材(y)の最適の寸法が出ます。この永久磁石(a)と適合する 電磁石(b)を1~4の状態を考慮して設計すればよいこととなります。
結 論
A.電磁石(b)と可動部材(y)の組み合わせ
B.ベーシックファクターと可動部材(y)の組み合わせ
AとBは比較するために、エアギャップ、素材、磁路の距離、断面積、体積、コイルの太さ、タン数等極力条件を同じくします。AとBの作用面における吸引力が同じときの投入電力量(W)を比較すると、Bの方がAより3~4分の1以下ですみますので、結論として、永久磁石のエネルギーを力学的動力に変換していることの証明となります。