次世代に向けて

 2020 年 10 月に我が国は「2050 年カーボンニュートラル」を宣言し、2050 年までに、温室効果ガスの 排出を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は、従来の政府方針を大幅に前倒すものであり、構造転換や大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組を大幅に加速することが必要となります。

 このような先進テクノロジーにより化石燃料からの転換を図る取り組みの中で、電気的エネルギーの約半分を費消し、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する唯一の装置であるモーターは、19世紀前半に発明されて以来、同じ基本原理の中で主に周辺技術が改良されることにより多くの進化をしてきました。現在では、それもほぼ出尽くした感さえあります。

 私は、20年以上前にこれにかわる新しい原理による駆動システムとして永久磁石と電磁石とを組み合わせたハイブリッド型可変リラクタンス磁石の開発に成功しました。この基本システムでは、電磁石のみの場合に比べ約3.5倍もの引力を発生することが当時の共同研究先である東海大学との学会発表などを通じて実証・評価されました。

 しかしながら、その後試作段階のモーターで思うような結果が出ず、同時に財政的な危機に直面し、研究開発体制の大幅な縮小を余儀なくされました。

 私はそのような状況の中でも細々と地道な研究を続けてきました。その結果ついに2021年に高性能な次世代モーターの開発に試作段階で成功し、実用化に目処をつけることができました。

 弊社は、この次世代型のモーターを広く市場に提供することにより、エネルギーの効率的でクリーンな利用を促進し、グローバルな環境保全へ遅ればせながら大きく貢献してまいりたいと思っております。

株式会社ゲネシス・ラボ 代表取締役 荻野三四郎